改訂新版「ROS2ではじめよう 次世代ロボットプログラミング」第2版に寄せて
実に5年ぶりの改訂となる改訂新版「ROS2ではじめよう 次世代ロボットプログラミング」が9/19に発売されます。それを記念して、9/11からROS2本の紹介記事を連続投稿しています。
- 改訂新版「ROS2ではじめよう 次世代ロボットプログラミング」編集協力者
- 初版「ROS2ではじめよう 次世代ロボットプログラミング」ROS 1ツアー章公開
- 初版「ROS2ではじめよう 次世代ロボットプログラミング」ROS 2移行章公開
- 改訂新版「ROS2ではじめよう 次世代ロボットプログラミング」本書の構成と目次
今回は改訂新版の最初のページに載せた「第2版に寄せて」を公開します。僕が改訂新版にかける思いの丈を綴っています。
第2版に寄せて
本書を手に取っていただき、本当にありがとうございます。本書は2019年8月に出版された「ROS2ではじめよう 次世代ロボットプログラミング」の改訂第2版です。
2019年当時は3年間の長期サポートを約束するROS 2ディストリビューションが初めてリリースされた年でした。ROS 2の前世代であるROS 1の方がまだまだデファクトスタンダードとして活用されている状況の中、海のものとも山のものともわからないROS 2について扱った本書が出版されました。それから5年の歳月を経て2024年9月、本書は内容をほぼ全面刷新した第2版として出版されました。
2019年当時はROS 1のユーザ数の方が圧倒的に多く、ROS 1の代表的なツール、パッケージ群がようやくROS 2への移行を開始し始めたような時期でした。 そのため、第1版にはROS 1を知らない方、使ったことがない方に向けて、ROS 1の備える機能を駆け足で紹介する「ROS 1ツアー」の章を最初に設けたり、ROS 1の開発者がROS 2に移行する手順を実践的にサポートする「Roomba用ROS 1ドライバのROS 2移行」の章を設けたりしました。
時は過ぎ、ROS 1の最後のディストリビューションのサポート期間が2025年で終了しようとしています。すでにユーザ数はROS 1よりもROS 2の方が多くなり、コントリビュータの人数はROS 2が圧倒しています。 そこで、第2版ではROS 1に関する説明を可能な限り削除しました。ROSに関する歴史的な背景を説明するためにROS 1の説明を用いる箇所には一部残りますが、それ以外の部分にROS 1は存在しません。そのため、第1版で読者から好評だった「ROS 1ツアー」の章も「Roomba用ROS 1ドライバのROS 2移行」の章も泣く泣く削除しました。 その分、ROS 2の周辺技術について紹介する「ROS 2エコシステム」の章と、実際にセンサーやロボットを使ってROS 2プログラミングを行う「実践ROS 2プログラミング」の章を新しく追加しました。
改訂第2版の発行にあたり、筆者は第1版の「はじめに」の章で述べた以下の一節に並々ならぬ思い入れがあります。
(前略) そんな日本企業がロボット関連技術のオープンソースソフトウェアとしてデファクトスタンダードの地位を確立したROS 2をソフトウェア資産として存分に活かし、インパクトあるロボット製品、ロボットアプリケーションをいち早く市場に投入していく未来を筆者は夢見ています。
その未来を誰かの手ではなく自分の手で実現するべく、筆者は第1版出版後に前職のPreferred Roboticsでは家庭用自律移動ロボット「カチャカ」の開発者APIとROS 2インタフェース開発の主担当を担いました。現職のティアフォーではROS 2をミドルウェアに採用するオールインワン自動運転ソフトウェアAutowareのソフトウェアエンジニアリングをしております。プライベートではROBOTIS DYNAMIXELのサーボモータに対応したROS 2ドライバの実装を公開しており、世界中の幅広いユーザが利用しています。
さあ、次は読者のみなさんの番です。心の準備はできましたか?
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